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100人分の給食をつくる!献立作成から学内提供まで

2024.10.21

【食物学科管理栄養士専攻】3年生必修授業?給食経営管理実習

食物学科管理栄養士専攻の3年次必修授業「給食経営管理実習」
食物学科管理栄養士専攻の3年次必修授業「給食経営管理実習」

食物学科管理栄養士専攻の3年次には、「給食経営管理実習」という必修授業があります。この授業では、班ごとに学生たちが、献立の考案から調理工程の検討、大量調理、提供までの給食経営を経験します。今年度の給食提供は、6月5日(水)から28日(金)までの毎週水曜日と金曜日に、各日100食分調理して学園関係者を対象に提供しました。今回は給食提供に至るまでの学びの様子と、各提供日の献立、そして食事提供を終えた学生へのインタビューをご紹介します。

株式会社フジマックによる実技指導

5月22日(水)と24日(金)に、業務用厨房機器のパイオニアである株式会社フジマック(以下、fujimak)より、森彩美(もりあやみ)さんと古屋敷優香(ふるやしきゆうか)さんを講師としてお招きし、学生考案の献立に対する業務用厨房機器を使用した実技指導を行っていただきました。学生はこの授業に向けて、班ごとに考案したメニューについて講師の2人から文書でアドバイスをいただき、それをもとに試作して臨んでいます。
実技指導が始まると次々と学生からの質問が飛び交い、講師の2人にはそれらに丁寧に答えながらfujimakのスチームコンベクションオーブン(大量調理用の加熱機器。以下、スチコン)を活用した大量調理のポイントを指導いただきました。ゴーヤチャンプルーを調理した学生は、「以前、試作したときはスチコンでの適切な加熱時間が分からず、卵がそぼろ状なってしまったけれど、今回はふわふわに仕上がった」と話しました。

スチームコンベクションオーブン(大量調理用の加熱機器)での調理に挑む
講師の森さんと古屋敷さんは、給食経営管理実習を担当する松月教授からこの科目を学んだ先輩でもあります。2人から学生へいただいたコメントをご紹介します。
 
?授業の中でたくさんの質問をいただき、学生全員が真剣に授業に取り組んでいる様子が印象的でした。大量調理の現場で欠かせないスチコンを上手に活用し、効率的に美味しい食事を提供できるように頑張ってください!(森さん)
?母校の講義に関わり、貴重な経験をさせていただきました。3年前、学生として実習に参加し、お客様に食事を提供した達成感を今でも覚えています。たくさん悩んで考えたメニューだと思いますので、自信をもって取り組んでいただきたいです。応援しています。(古屋敷さん)
 
実習の後には、本学が導入しているfujimakの再加熱カート(配膳時間に合わせて再加熱する厨房機器)について解説もしていただきました。本学の給食経営管理実習では、再加熱カートを活用したレディフード実習(事前に調理したものを急速冷却後に保冷して、提供時に再加熱する実習)を行っており、これは他大学ではあまり実施されない実践的な内容です。
写真左から 学生が調理したものを先生が試食して指導/再加熱カートの解説をする森さん(左)、古屋敷さん(右)
写真左から 学生が調理したものを先生が試食して指導/再加熱カートの解説をする森さん(左)、古屋敷さん(右)

【学生インタビュー】給食経営管理実習を終えて

食事提供までの準備、当日の経験から得たものや、家政学部食物学科管理栄養士専攻における学びについて、実習班のリーダー4人にお聞きしました。下の写真の左から、加藤希実(かとうのぞみ)さん、小川陽菜(おがわはるな)さん、中村和佳奈(なかむらわかな)さん、松井こころ(まついこころ)さんです。

——食事提供に向けた準備で、とくに力を入れたことは何ですか
中村:私たちの班は「沖縄」の郷土料理をテーマに献立作成しました。苦労したのはデザート。最初はアイスを予定していましたが、大量調理では提供時に溶けてしまうという難しさがあり、代わりに「ごろごろパインの黒糖寒天」を考案しました。全く新しい献立だったので、最初は周囲から「それっておいしいの?」という声もありましたが、提供した結果としては評判が良かったので、工夫した甲斐があったと感じています。
加藤:前日まで作業工程表の作成が終わらず、苦労しました。作業工程表とは限られた時間における調理の工程について、調理場内の作業区域ごとに適切な厨房機器を選び、衛生管理の重要管理点に配慮しながら表にまとめたものです。本実習では誰がどの厨房機器を担当するのか5分刻みの表組で整理しています。私の班はスチコンを何度も使用する「海鮮あんかけ焼きそば」の調理における人員配置を工夫して、スムーズに提供できるように努めました。
——食事提供日、印象深かったことを教えてください
松井:私の班の「タンドリーチキン」はプレートに冷たいレタスとパプリカマリネを盛り、そこに焼きたてのチキンを盛り付けるものでした。提供当日は、想定より盛り付けに時間がかってしまい、先生の手助けがあって何とか提供できたという印象です。ですが食べた方から直接「おいしかったよ」と声をかけていただけて、とても嬉しかったです。
小川:100人分という大量調理は初めてだったため、調理を始めてみたら野菜の量が多くて火がなかなか通らず、どんどんと時間が押してしまって焦りました。しかし、私がリーダーをつとめた班のメンバーたちが、それぞれ声を出して「加熱が終わってないから先にこっちやっておくね」など積極的に動いてくれたので、最終的にはお客様を待たせずに提供できたので良かったです。
——給食経営管理実習で学んだことを教えてください
松井:初めての献立作成、大量調理は想像していたよりもずっと手間がかかり、「これまで私たちが食べていた給食ってこんなに大変だったんだ」と気づかされました。大変な場面を乗り越えられた理由は、「チームワーク」だと思います。一緒に作業する人たちと円滑なコミュニケーションが取れていないとお客様に良いものが提供できないということを、この実習で学ぶことができました。
加藤:大量調理では付着水(野菜を洗ったとき等に付着する水)が多くなると知識では知っていましたが、実際に調理してみて思っていたよりも付着水が多く、味付けが薄くなってしまったり、「海鮮あんかけ焼きそば」のあんかけのとろみが出なかったりと想定外のことが生じました。そうした経験をすることで、教科書に書かれていた理論を自然と理解することができました。
写真左から 作業工程表を確認する加藤さん、松井さん/沖縄料理の提供日と同様にハイビスカスを実習着に飾った小川さん、中村さん
写真左から 作業工程表を確認する加藤さん、松井さん/沖縄料理の提供日と同様にハイビスカスを実習着に飾った小川さん、中村さん
——日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻に入学した理由を教えてください
中村:私は附属高校から本学へ進学したのですが、高校に入学した当初から管理栄養士を目指していました。高校受験で附属高校を選んだ理由は、日本女子大学には「女子大だから学べることがある」「総合大学だから専門だけでなく教養科目も学べる」と感じたから。共学の学校では、男子がリーダーをやりがちな風潮があると思いますが、女子大学ではもちろん女子が全部やるので、そうした環境を経験することは貴重だと思っています。また昨年履修した「異分野連携実践演習」は他学部の学生とディスカッションする授業であり、さまざまな学問領域に触れる良い経験となりました。
小川:もともと医療関連の仕事をしたいと漠然と思っていたころ、病院での職場体験でおいしい病院食を食べて、「食」から医療を支える管理栄養士に興味を持ちました。その後、本学で学びを深める中で管理栄養士の仕事の幅広さを知り、現在は食品メーカーにおける商品企画?開発にも興味を持っています。日本女子大学の魅力は設備が整っていること。スチコンとブラストチラー(急速冷却のための機器)が2台ずつあり、再加熱カートもある大学はなかなかないと聞きました。また、食の分野でさまざまに活躍されている卒業生に話を伺う機会も多く恵まれていると感じています。
 
 
——日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻を目指す受験生へ、メッセージをお願いします
松井:必修の授業や実験、実習など本当に忙しいですが、とても充実した毎日を送ることができると思います。頑張ってください!
中村:他の大学にはない魅力的なものがたくさんあると思うので、管理栄養士を目指す方はぜひ日本女子大学を目指してもらえたら嬉しいです。
加藤:入学すると大変なことも多いぶん、楽しいこともたくさんあるので、頑張ってください 
小川:「管理栄養士専攻」というと将来が定まってしまうように感じる方もいるかもしれませんが、学ぶ内容も将来も多様に広がる専攻なので、あまり気負わずぜひ入学してほしいと思っています。

提供メニュー一覧

いろとりどり! タンドリーチキンランチ
<いろとりどり! タンドリーチキンランチ?>

胚芽米、タンドリーチキン レタスとパプリカマリネ添え、三色野菜のコロコロサラダ、グリーンポタージュ、オレンジ

夏野菜でさっぱり!揚げないアジフライ御膳
<夏野菜でさっぱり!揚げないアジフライ御膳>

胚芽米、揚げないアジフライ~香味だれ添え~、おくらと長芋のさわやかわさび和え、和風野菜スープ、シャリシャリ寒天ゼリー

でーじまーさん定食
<でーじまーさん定食>

胚芽米、ゴーヤチャンプルー、シークワーサーなます、もずく汁、ごろごろパインの黒糖寒天
※「でーじまーさん」は、沖縄の方言で「とても美味しい」という意味

えっ、お肉じゃないの!?大豆ミートでベジ中華
<えっ、お肉じゃないの!?大豆ミートでベジ中華>

胚芽米、大豆ミート団子のあんかけ、茄子の冷製、中華スープ、マンゴープリン

まんぷく中華
<まんぷく中華>

海鮮あんかけ焼きそば、トマトときゅうりの中華和え、ニラ卵スープ、烏龍ミルクティープリン

ヨーロッパ風 カラフルランチ
<ヨーロッパ風 カラフルランチ>

ベーグル、きのこトマトソースのオムレツ、ブロッコリーのレモンサラダ、ミネストローネ、季節のフルーツ

異国料理を食べて学ぶSDGsランチ
<異国料理を食べて学ぶSDGsランチ>

胚芽米、夏野菜のミートチーズ焼き、胡麻ドレサラダ、きのこのコンソメスープ、ベリーソースのナタデココヨーグルト

夏うどん、始めました。
<夏うどん、始めました。>

うどん、冷しゃぶサラダ、青菜のおひたし、つけ汁(ごまだれ)、さつまいもの甘煮

※日本女子大学は、2025年4月に現在の家政学部食物学科管理栄養士専攻を基とした、食科学部栄養学科を開設予定です。