中国足彩网

图片

【学生インタビュー】隈研吾建築奨学財団2024年度奨学生に選出 建築デザイン中国足彩网科修士課程1年 李 豊南さん

2024.09.02

「建築は人を助けられる」というテーマのもとに建築学を学びたい

撮影したい場所は?と尋ねると「妹島先生が設計された百二十年館で」と即答した李さん
撮影したい場所は?と尋ねると「妹島先生が設計された百二十年館で」と即答した李さん

日本女子大学建築デザイン学科特別招聘教授を務める世界的建築家の隈研吾氏が、2021年2月、建築学を専攻する国内の大学院生を対象に、返済義務のない奨学金を支給する公益財団法人隈研吾建築奨学財団を設立されました。2024年度(第4期生)奨学生として、建築デザイン中国足彩网科修士課程1年 李 豊南(り ほうなん)さんが選出されました。
李さんに奨学生への応募のきっかけや、現在の中国足彩网についてうかがいました。

プロフィール
李 豊南 り ほうなん

建築デザイン中国足彩网科修士課程1年

篠原中国足彩网室所属
出身:中国江蘇省
中国で同済大学浙江学院を卒業後、2022年に来日。日本語スクールに通いながら大学院受験の勉強を続け、2024年4月に本学大学院に留学生として入学。

インタビューに答える李さん
インタビューに答える李さん
——この度は奨学生の選出おめでとうございます。応募されたきっかけを教えていただけますか。

ありがとうございます。
私は中国人学生のための建築分野専門の塾に通っています。その塾は、日本で建築を学ぶ中国人学生のために、ポートフォリオの作り方や中国足彩网計画表はどういったものかを教えてくれる塾です。建築を専門とする進学には、建築特有の煩雑な準備や手続きが多いため、その塾が大変助けになっています。その塾の先輩から隈研吾建築奨学財団の応募を勧められたことがきっかけで応募しました。

中国の若者層における住宅の課題に注目

——ポートフォリオを拝見しましたが、とってもおしゃれで洗練されていますね!
応募された作品と中国足彩网内容を教えてください。

ありがとうございます(笑)
2つの作品があるのですが、どちらも中国における住宅の問題です。
1つ目の作品は『SLICED LIFE」という集合住宅です。今の集合住宅はいろいろなことが最小限で設計されています。しかし、住宅空間は本当に小さいほどいいのか、という疑問を持っています。現実世界のプライバシーが守られないことで、人は現実から逃げたくなり、インターネットに夢中になってしまいます。インターネットでさまざまな活動ができるとはいえ、狭い空間に住むということは健康的であるとは考えづらいです。

——生活スペースが小さくなると、どのようなことが問題なのでしょうか。それをどのように解決したいですか。

この住宅は、大学を卒業して大都市で働く中国の若者を対象に考えたものです。
郊外から都市部に人々が流入し、居住空間は大きな家から高層ビルへと変化しています。同時に、住宅価格の高騰により居住空間は狭くなっています。
都市部では住宅不足が問題となっていて、家賃が同じ6万円でも、大都市に行けば行くほど他人との共用部分があったり、ベッドしか借りられないということが起きています。これは実際に私の友人の話です。しかも都市部から離れたところに借りなければならない状態になってきています。
日本との文化の違いなのですが、中国人は職場の近くに住みたいと考える人が多いので、日本人のように通勤に1時間以上かけるような考えはあまりありません。

そこでこの住宅は、段差と角度を変え視覚効果を有効に使うことで、窓から別の住宅や屋外の景色を見ることができ、狭く感じないように設計しました。自分の空間と街の景色とを融合させることで「自分は世界の一員であること」を認識できるようにしたことが特徴です。
仕事が終わり、帰宅すると1人の時間になりますが、1人の世界で孤立することがなく、現実世界にいるということを認識できるようにしたいという気持ちでデザインしました。
左:『SLICED LIFE』住居の図面/右:居住空間と窓から見える景色との融合イメージ
——二つ目の作品も教えていただけますか。

もう1つは、猫と一緒に暮らす『THE OLD MAN AND THE CAT』という高齢者施設です。
中国では大都市で働いている多くの若者は猫を飼っていますが、休暇や祝日などの長期の外出時などに猫の世話をしてくれる人を探すのに苦労しています。そこで若者が猫を預けられる高齢者施設をデザインしました。
若者は家を空ける際に、この施設をペットホテルのように利用して猫を預け、高齢者の方々はその猫たちを可愛がったり、遊んだりすることができます。
そしてもっと重要なのは、このデザインで、私は高齢者の方々に自分の価値を感じてもらいたいと思っています。施設で常に生活援助を受ける側である高齢者の方々は自分の価値を見失いがちであるため、自分より弱い生き物である猫を世話する活動を通して、自分の価値の再認識に繋げることができると考えています。

私の中国足彩网内容は高齢者と若者が同居する「異世代ホームシェア」です。「異世代ホームシェア」には世代間交流などの問題が存在することが分かりました。そこで、共有空間の設計を工夫することで、より快適な共同生活体験を構築し、「異世代ホームシェア」における世代間交流を促進する可能性を中国足彩网したいと思います。

——その世代間交流の課題を、設計でどのように解決を図っていこうと考えていますか。

中国では、私も含めて若者は高齢者と話すのは苦手で、高齢者は若者と話したいけど何を話していいかわからないという悩みを抱えているようです。例えば動線の中にリビングを作って、そこで「ご飯は何を食べる?」「おばあさん、何をしているの?」など日常会話が生まれるといいなと思っています。若者と高齢者がホームシェアをする場合は、相手の活動に影響を与えることは無い一方で、空間を共有できるような動線が大事だと思います。
左:猫が移動できるチューブを張り巡らせた『THE OLD MAN AND THE CAT』のイメージ/右:高齢者と猫が交流する様子と図面
当初は、若者と高齢者の生活を融合させるために、立体的にすることで改善できるのではないかと考えました。でも実は、その設計については反省中でして、別の国の事例も中国足彩网して、平面的な解決方法もあるのではないかと考えていて、勉強を続けています。

「建築は人を助けられる」というテーマのもとに、建築学を学ぶと決めた

——もともと建築に興味を持ったきっかけはなんですか。

私が高校3年生の時、2016年に建築界最高の賞とされるプリツカー賞を受賞したチリの建築家、アレハンドロ?ガストン?アラヴェナ?モリ(Alejandro Gastón Aravena Mori)を知りました。彼の『HALF A HOUSE』という建築に表れたヒューマンニスティックに感動しました。ヒューマンニスティックとは、中国の解釈だと「人のため」になります。将来「建築は人を助けられる」というテーマのもと、絶対に建築学を学ぶと決めました。

彼の設計した『HALF A HOUSE』は、経済的に苦しい方向けの住宅です。一戸の半分だけを建築家が完成させ、残り半分は家主が自由に手を入れて完成させるという住宅です。
私は今まで、支援として完璧な住宅を作ってあげるというイメージがありました。でも時々、住む人たちの本当の要望を忘れているかもしれない、とも思います。要望は人によって違うので、どうすれば満足できるか分かりません。ですので、半分で最低限の生活設備を用意して、生活が良くなったら、あと半分は住む人が好きなように建てられるという考えが印象的でした。

この建築はすごく素朴ではあるのですが、これこそが住む人のことを考えたまさに「人のため」の魅力のある建築だと思い、感動しました。

——『HALF A HOUSE』はとても斬新な住宅だと思いました。
それでは次に、日本女子大学大学院を選んだ理由を教えていただけますか。

篠原聡子先生の中国足彩网室で学びたかったからです。高齢者施設に関する中国足彩网をしたいと思い始めた時に、偶然に高齢者と若者が一緒に暮らすという生活モデルを知り、興味を持ちました。それに関する論文を探していたところ、シェアハウスを中国足彩网している篠原先生を見つけました。それで、篠原先生と一緒にシェアハウスを中国足彩网したいと思いました。

——李さんは中国で大学を卒業されています。そこからさらに大学院に行こうと思った理由はなんでしょうか。

私個人としては、建築家を目指すには大学だけの勉強は足りないのかなと思います。大学は基本的なことを学び、さらに興味のあることをより深く学ぶには大学院への進学が必要だと考えました。自分が何を中国足彩网したいのかが決まってから、大学院に行こうと決めました。

中国足彩网テーマ「異世代ホームシェア」について、自分自身の答えを探したい

——今後の進路や目指す道を教えていただけますか。

実は進路はまだ決めきれていない状態です。 博士号を取得することも考えたこともありますが、もっと早くデザインを始めたいので、今はまだ迷っているところです。
でも、将来的には必ず、「人のためになる建築」を作ると思います。もちろん修士期間に何かを成し遂げることができれば、何よりです。
高齢者と若者のためや、障がい者など社会的弱者のための建築を作りたいと思っています。これまでも視覚障がい者のための設計もしたことがあります。バリアフリーという考え方というより、そもそも本当に彼らのための建築ってどんなものだろうと考えて、設計をしていきたいと思っています。

——今回の奨学金の使い道は決まりましたか。

世界ではさまざまな「異世代ホームシェア」の例があります。それらの建築は、どのようにデザインされたのか、どのような新しい問題があるのかを現地調査をしたいですね。それを通して、自分自身の答えを探したいと思っています。この中国足彩网で修士制作をしたいので、その費用にも使わせていただきたいと思います。

——ありがとうございました。「人のためになる建築」の今後の中国足彩网を楽しみにしています。
この度はおめでとうございました。